サーキュラーエコノミー社会の実現に貢献

大量生産・大量消費の経済活動は、結果として大量の廃棄を生み、環境汚染のひとつの要因となっています。また、限りある資源を採取し続ければ、天然資源の枯渇や、生態系の破壊を引き起こしかねません。

そこで、大量生産・大量消費・大量廃棄といった「一方通行型」の経済ではなく、限りある資源の消費を抑え、かつ資源の効率的な利用を図る「循環型」の経済へ転換する取り組みが、世界各地で加速しています。これが「サーキュラーエコノミー（循環型経済）」です。持続可能な社会の実現のため、企業も循環型経済への移行が求められています。

私たちJSWグループは、製品をつくる段階での資源の消費量削減と、廃棄物のリサイクルを通して、サーキュラーエコノミー社会の実現に取り組んでいます。

化石燃料の消費を抑えるため、モビリティ業界で目下の課題となっているのが「車体の軽量化」です。

そういった軽量化の試みの中でニーズを高めているのが、プラスチックの発泡成形技術です。これは、プラスチック内部に細かい気泡を発生させることで、強度を維持しつつ、従来製品よりもプラスチックの使用量を抑えた、軽量な製品を作る成形加工技術です。

JSWグループでは、この発泡成形加工を施したプラスチック製品の製造に必要な、物理発泡射出成形機の提供を行っています。

マテリアル（Material）には、日本語で「原料」「材料」という意味があります。メカニカルリサイクルは、廃プラスチックをプラスチックのまま再利用し、新しい製品の「原料」とするリサイクル手法です。

メカニカルリサイクルされるプラスチックは、分別回収されたペットボトルなど、単一の素材であることが望ましいとされています。一方、家庭ゴミなど複数の素材が混ざり合ったものは、そのまま原料として再利用することが難しく、メカニカルリサイクルに適していません。

これを受け、近年は生活用品のパッケージなどを単一のプラスチック素材で製造する「モノマテリアル化」の取り組みが広がっています。JSWグループは、食品包装のモノマテリアル化推進のため、単一素材で構成された包装フィルムの製造および、製造技術の普及を進めています。

従来の食品包装フィルムは、それぞれの役割を持つ複数層で構成された「マルチマテリアル」のものが一般的でした。単一の素材で構成されるフィルムであればリサイクルの際の分離が不要となり、容易にメカニカルリサイクルが行えるようになるのです。

製造工程で発生した廃プラスチックなどを原料の一部に利用し、新しいプラスチック製品へと加工するといったメカニカルリサイクルにも貢献しています。燃料タンクなど中空のプラスチック製品を成形する多層大型中空成形機では、使用原材料中の再生材料の使用率を高めても、バージン材料と同等の高性能を維持する成形加工技術を保有しており、資源消費量の削減に貢献しています。その他にも、再生樹脂を利用した樹脂原料（ペレット）の製造機や、射出成形機などの提供を通して、再生樹脂の利用を活性化し、サーキュラーエコノミー社会の実現に貢献しています。

廃棄物を燃やしたときに発生する熱（サーマル）を回収し、エネルギーとして再利用するリサイクル手法が「エネルギーリカバリー」です。ごみ焼却工場で発生した熱エネルギーを発電に用いたり、温水プールを温めたりするのは、エネルギーリカバリーにあたります。

また、塩素を大量に含む廃プラスチックは、方法によっては、燃焼時に有害物質であるダイオキシンが発生します。JSWグループでは、ダイオキシン発生の原因となる塩素を除去したうえで、廃プラスチックから製鉄工程で用いられる高炉還元剤を製造する技術も保有しています。

現代社会の生活になくてはならない電気。その電気を作るために必要な、発電設備の素形材（鋼）部材をJSWグループは提供しています。日本製鋼所M&Eで製造される鋼は、自動車製造工程などで発生する鉄スクラップが主原料となっています。鉄スクラップを電気炉で溶解・精錬（不純物を取り除く）しながら、必要な材料特性を持たせるように成分を調整しつつ、高性能な鋼に生まれ変えています。このように、JSWグループの電気炉を用いた素形材製造は、発電用部材・産業用部材など社会インフラを支える製品を通じた資源循環型のリサイクルプロセスなのです。

通常のプラスチックは自然界の環境によってはほぼ分解されないため、一度自然環境中に流出すると人の手を加えない限り半永久的に残り続けるという問題があります。

一方で生分解性プラスチックは自然環境中で微生物の働きにより、水と二酸化炭素に分解されるため、自然環境中に流出した場合でも自然環境に与える影響を最小限に抑えることが可能です。

この生分解性プラスチックに発泡成形技術を適用することで、発泡を行わない成形品よりも分解速度を速めることができます。一般的に発泡成形技術は、成形品の軽量化やソリ、ヒケ、バリといった成形不良の改善や寸法精度の向上を目的に用いられますが、環境負荷低減技術としても近年注目が高まっています。

JSWグループは、多種多様なリサイクルプロセスに対応し、その技術を高め、サーキュラーエコノミー社会の実現に向けて取り組んでいます。